現在では、青果物の包装資材としてご好評いただいている、リサイクル型防湿段ボール「DPC」。この製品の開発のきっかけは、段ボールで包装されたコピー用紙が梅雨時期になると反ってしまう、という問題の改善依頼をお客様からいただいたことでした。
当時のコピー用紙は湿気に弱く、原因が梅雨時期特有の湿気にあることは明らかでしたが、包装には一般的な段ボールが使用されており、内容物を湿気から守る配慮はほとんどされていませんでした。
製品開発にあたっては、王子マテリア株式会社の「グリーンラップ」と当社で先行開発した強耐水段ボール「USPC」で培った技術を活用し、リサイクルが難しいPEフィルムやワックスを使用せずに、段ボールに薬剤を直接塗布する方向でスタートしました。
開発は、原紙段階から王子マテリア株式会社の協力を得て、製品の要である防湿性の向上に加えて、100%リサイクル可能にするために薬品の安全性に配慮するなど、さまざまな新たな試みを経て製品化にいたりました。
現在では、防湿段ボールは一般的ですが、製品化の時点では、100%リサイクル可能な防湿段ボールは存在しておらず、
段ボール業界の新境地を切りひらく製品として、リサイクル型防湿段ボール「DPC」は誕生しました。
発売後、DPCはオフィス向けの防湿段ボールとして、順調に市場へ浸透していきました。その一方で、当時、当社はお客様からいただいた、青果物の鮮度保持(防湿)という課題に取り組んでいました。開発担当は、DPCの高い防湿機能とリサイクル性に着目し、青果物でのさまざまな試験・評価を実施し蓄積したデータを携えて、お客様へのプレゼンテーションに臨みました。 当初、お客様からは、コスト面の問題に加え、防湿効果も疑問視されましたが、特に鮮度保持が求められる、茄子、キュウリなどをサンプルに、地道にテストを行った結果、非常に高い鮮度保持効果を発揮する製品だということをご理解いただき、高評価をいただくようになりました。
当初は、特定のお客様に対する課題解決という目標から生まれた製品ですが、高い防湿効果とリサイクル性をご評価いただき、発売から10年以上に渡り、防湿段ボールのスタンダードとして、青果物を中心に数多くのお客様にご利用いただいています。また、02年6月には、新製品として、内容物の美粧性を高めるため、防湿層への自由な彩色を可能にした「カラーDPC」をラインナップするなど、当社の主力製品として進化を続けています。